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2017年7月某日より一泊二日で泊まり込みの修行をしてきました。目的は今年度で仕事を辞めるのかどうかをはっきりさせることでした。

場所として選んだのは山梨県身延町にある「久遠道場」。自宅から比較的近かったのと、ぼくの希望した日程で受け入れ可能であったことが決め手でした。

今回はこちらでの一泊二日の修行体験についてレポートします。

 

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久遠道場はお寺じゃない!?

まずぼくも勘違いしていたのですが、久遠道場はお寺ではありません。普通の民家です。

日蓮宗の総本山である久遠寺のお膝元にありますが、久遠寺とはなんの関係もありません。関係があるとすれば、この家に住んでいるのが日蓮宗のお坊さんであるということだけです。

 

「フリーランス」のお坊さん

こちらに住んでおられるのは鈴木法拳さん。どこのお寺にも属さないフリーランスのお坊さんです。

⇒鈴木法拳さん自己紹介ページ

 

フリーランスのお坊さんって何? と思われるでしょうが、特定の会社(お寺)に属していないだけでちゃんとしたお坊さんです。フリーランスのジャーナリストやフォトグラファーと同じですね。

日蓮宗の僧侶となるためには資格が必要ですが、そのための修行は久遠寺でされたそうです(ちなみに僧侶になるための修行は国内外でされています)。

法拳さん
久遠寺で修行していたときは、まさか将来ここに住むことになるとは思っていませんでした

 

久遠道場は知り合いのお坊さんが所有し命名した道場ですが、ご厚意で法拳さんがお借りし活動の拠点とされています

この久遠道場を拠点として法拳さんについて修行することになります。

 

2日間の修行メニュー

修行者の居室

修行の内容を時系列に沿って紹介します。これは今回ぼくが体験した内容であり、人や期間によって内容は変更される可能性があります。

なお時間はだいたいの目安と考えてください。

 

1日目

13時30分 日程説明と体質診断

体質診断ではアーユルベーダの考え方を用い、自分の体質を「火」「水」「風」の特徴に分類します。

14時00分 ご廟所参拝と唱題修行

団扇太鼓。これを叩きながらお題目を唱える。

ご廟所とは日蓮上人のお墓のことです。こちらではお題目「南無妙法蓮華経」を3回唱えてから、読経、続いて日蓮上人のお手紙とされる「波木井殿御書」を読み上げます。10分程度で終わります。

唱題修行はご廟所に向かって1時間、団扇太鼓を叩きながらお題目「南無妙法蓮華経」を唱え続けます。

姿勢は正座。発泡スチロール製のシートの上とはいえ1時間の正座はまさに修行。団扇太鼓もなかなか重いので持ち方を工夫しないと手に力が入らなくなってきます。

 

16時00分 夕方の勤行と瞑想

勤行はいわゆる「お勤め」というもので、朝と夕にあります。久遠道場にて行われます。

瞑想はまず体をととのえ、呼吸をととのえ、心をととのえるという過程を経て行います(調身、調息、調心といいます)。30分程度座ります。

瞑想のあとにひとかけらの生姜に塩をつけて食べます。食事の少し前に食べると消化がよくなるとのこと。アーユルベーダの考え方です。

 

17時30分 入浴

この間に法拳さんが夕食を用意してくださっています。

 

18時00分 夕食

菜食です。この日のメニューは発酵玄米のご飯(赤飯かと思うほどモチモチとしておいしい)、夏野菜の味噌汁(ごま油で具材を炒めてありうまみが強い)、高野豆腐の唐揚げ(まるでお肉)、ゴーヤーチャンプルー、キュウリともやしの酢の物でした。

菜食というと物足りないイメージでしたが、普段自分が食べているものよりも満足感がありました。けっして派手ではないのですが、じんわりおいしいのです。「ああ身体によいもの食べてるなあ」と感じられます。高野豆腐の唐揚げは注意して食べないと高野豆腐であることに気づかないほど肉のような食べごたえがあります。

出されたものはたくあん以外すべて食べます。ゴーヤーチャンプルーも残り汁までいただきます。

 

すべての食器はお茶を入れてたくあんで内側をきれいにしていきます。最後にお茶を飲みます。ここまできれいにしておけば、洗うのはほとんどすすぐだけで十分です。

食事中、話は禁じられていますが音を立てることは特別禁じられていません「器をおけば音が出るのは当たり前のことだから」だそうです。

 

19時30分 法話と瞑想

これは人によってだいぶ内容が変わると思われます。

ぼくの場合は、現在考えている仕事のことについて話を聞いていただく時間となりました。話していて考えが整理されたというより、話す前からすでに考えが固まっていたことに気づくことができました。

法話(というより雑談)のあと、身延川のせせらぎを聞きつつ30分ほど瞑想。

これで1日目は終了となります。

 

2日目

4時 起床

 

4時30分 総本山久遠寺へ出発

日本三大三門のひとつといわれる久遠寺の三門を通り、朝の石段を上ります。きついです。

ちなみに日本三大三門の他のふたつは、京都の知恩院と南禅寺にあります。

⇒【参考】京都:知恩院の三門

 

「南無妙法蓮華経」の7文字になぞらえて287段の石段(菩提梯といいます)が7区画に区切られています。それぞれの踊り場で休みながらでないと上りきれません。

⇒【参考】身延山久遠寺ー境内案内

 

5時30分 久遠寺朝勤行に参列

久遠寺本堂にて朝勤行に参列します。

大太鼓が打ち鳴らされるとお坊さんが何十人も本堂に入ってこられます。勤行はこれらのお坊さん方により荘厳な雰囲気のなか歌うように執り行われます。あまりに荘厳なので今日は特別な日かと思ったほどです。この勤行は毎日行われています。

余談。久遠寺には京都の寺社仏閣にまさるとも劣らない建造物がいたるところにあります。こんな立派なものが山合の小さな町にあることに驚かされます。が、そのわりに観光客は少ないです。

年末年始などの繁忙期はともかく、観光の穴場であることは間違いありません。修行でなくても訪れる価値があるところです。

 

7時00分 ヨーガ、オイルマッサージ、瞑想

朝勤行が終わったら、ご廟所参拝を経て道場へ帰ります。

ヨーガでは無理なことはしません。関節を丁寧に動かして体をほぐします。

オイルマッサージは白ごま油を使用。これを主に「頭頂」「耳」「足の裏」に自分で塗ります。

白ごま油はふつうに売っているものですが、キュアリングといっていったん100度まで加熱して処理してあるのであまりベタベタしません。

塗ったあと発汗するのが理想だそうですが、暑さで発汗するのでシャワーで洗い流して終わりました。

 

8時00分 作務(掃除)

自分の使ったお風呂場、トイレ、居室を掃除。作法はとくにありません。

 

8時30分 朝食

  • 玄米小豆粥
  • 豆腐と揚げのみそ汁
  • きゅうりと付け合わせの味噌
  • たくあん、梅干し

 

これも残さずきれいに食べます。最後はお茶とたくあんできれいにします。

前の晩の食事もそうですが、みそ汁がうちで食べているものとは比べ物にならないほどおいしかったです。同じみそ汁なのにどうしてこうも違うのか・・・。

 

9時30分 写経

「欲令衆」という経文があらかじめ薄く印刷されているので、これを筆ペンでなぞります。自分の筆跡でないので大変ですが、自分のやり方に対するこだわりを捨てる意味もあるとか。

 

10時30分 奥の院(思親閣)登詣出発

思親閣からの眺め

先程朝勤行があった久遠寺本堂の裏手から登り始めます。今回は久遠寺までは車で行くので石段は上りません。

しかし、それでも十分おつりがくるくらい奥の院までの道は坂が険しい。高低差が1200メートルあります。道自体はならされていて歩きにくくはないですが、勾配はなかなかあります。

そこを奥の院まで約2時間。ただ歩くのならよいですが、修行なので団扇太鼓を叩きお題目を唱えながらの登詣となります。山登りなどされていて足に自信のある方でもきついかもしれません

 

道中、道端に「◯丁」と書かれた石柱が立っています。50丁がゴールなのでそれを目安に登っていきます。

途中でお堂などがいくつかありそこで参拝していきます。これが貴重な休みとなります。ぶっつづけで2時間はとてもできません。

この日は途中長めの休憩を入れつつ、2時間程度で到着。法拳さん自身「今回は一番きつく感じた」とおっしゃっていたのでいわんや一般の人をや、です。

登詣は気候によってキツさがだいぶ違います。やや寒いくらいのほうが楽なようです。

 

13時00分 昼食と思親閣参拝

お昼は玄米のおにぎりとたくあん玄米とはいえやわらかく炊いてあり抵抗はありません。

おにぎりはサランラップでつつんだものを竹の皮でくるんであります。通りすがりの方が「雰囲気ありますねえ」とおっしゃっていましたが、この竹の皮は100均で買ったものだとか。

 

思親閣にはお守りなど売っているおみせがあるので、ほしい方はお金も余分にもっていったほうがよいです。

1200mも上がると空気が冷たいです。7月の半ばでもひんやりとして寒いほどでした。少し羽織れるものがあるとよいです。

帰りはロープウェイを利用。わずか7分で下山。760円也。修行とはいえ、このくらいの楽は許されるでしょう。

 

14時00分 久遠道場着

これで修行は終了です。お布施をお渡しして帰ります。お布施はあらかじめ封筒に入れておきます。

 

久遠道場の修行の特徴

久遠道場の修行の特徴は以下の3点にまとめられます。

◇自宅でもできることをする

お寺の修行体験に参加すると普通は作法について厳しく指摘を受けます。しかし久遠道場ではそのようなことはしません。例えば食事の際、食器を置くときに多少音がしてもよいとされます。

この理由について問うとうちでできないことをしてもしかたがないから」とのことでした。道場だけでできることをするより自宅に帰っても生活に取り込めることをしたほうがよいという考えです。

たしかに「南無妙法蓮華経」と唱えること、食事の前に塩をつけた生姜を食べて消化を助けること、食器をお茶とたくあんできれいにすること、ヨーガ、白ごま油をつかったオイルマッサージなど、やろうと思えばできることがたくさんあります。

 

◇生活から建て直す

久遠道場での修行生活は、体によいことを徹底的にします。

早寝早起き、瞑想、玄米と菜食によるおいしく必要十分な量の食事、豊富な運動(たくさん歩き、たくさん声を出します)、体質診断、オイルマッサージ、ヨーガ。「体をいたわる」色が濃く出ているのが久遠道場の修行の特徴といえます。

 

法拳さんはあるとき、悩みのある人はたいがい生活リズムが崩れている」ということに気づかれたそうです。ということは、いくらありがたい教えを説いても教えだけでは悩みは消えない。ならば悩みを抱える人と一緒に生活することで生活リズムを取り戻すお手伝いをしよう。

そう考えられたことが現在の「久遠道場」での修行スタイルにつながっています。

 

◇打ち込むことで切り離す

久遠道場の修行では座禅はしません。瞑想はありますが、1回30分程度のもので長くありません。いわゆる座禅を修行の根幹とするお寺でおこなう座禅とは性質が違います。

久遠道場の場合、座禅のかわりになっていると思われるのが「お題目の唱和」と「歩くこと」です。この二つは1日中ついて回ります。

 

各日の一番きつい修行にも含まれています。1日目は題目修行(正座で1時間題目を唱え続ける)、2日目は「奥の院登詣(団扇太鼓を叩きながら題目を唱え山道を2時間登り続ける)」がそれにあたります。

おなじことを延々繰り返すうち、だんだん考えごとが遠く追いやられていきます。法拳さんがおっしゃったわけではありませんが、単調な作業に打ち込むことで自分の中に籠っている考えを切り離しているように感じられました。

 

久遠道場での修行Q&A

【Q1】どんな人が参加しますか?

いままで参加したのは、夢を実現するために会社を辞めてきた元会社員、自分のお店をもちたい主婦、就職活動に悩む大学生など。ちなみにこの記事を書いているぼくは会社を辞めるかどうか悩んだ中で参加することにしました。

男女を問わず、年齢、背景はさまざまですが、共通しているのは「悩んでいることがある」という点です。

小さな悩みなら人に聞いてもらったりすれば解消できそうですが、大きな悩みは違います。話を聞いてもらうだけではダメというのはわかっても、どうしたらよいかはわからない。

なにか違うことをしなければ! と思ったときに「修行」の二文字が思い浮かぶのではないでしょうか。ぼくはそうでした。おそらく他の方も似たような経緯をたどられたのだと思います。

【Q2】1回の参加人数は何人くらいですか?

法拳さんによれば、たいがい1人、多くて2人。「みなさん悩んでますから、来るのはお一人ですね」とのこと。

少人数ですから、できないことがあればそのように言えば対応していただけます。

 

【Q3】宗派が違うけれど大丈夫?

日蓮宗信者でなくても、あるいは仏教徒でなくても参加可能です。ぼくはたぶん実家が浄土真宗だったような・・・という程度のいい加減な仏教徒です。

 

【Q4】おすすめのシーズンはありますか?

暑い時期と寒い時期は避けた方がよいです。暑い時期には「奥の院登詣」が、寒い時期には「題目修行」がさらに苦行となります。暑くもなく寒くもない3~6月、9~11月くらいがよいでしょう。

 

【Q5】持ち物は何がいりますか?

事前にいただいたメールの連絡では、着替え、タオルなどの洗面具、動きやすい服装と運動靴、一応レインコート等の雨具(天気が悪い予報だった)とありました。

数珠もあれば持参ください、無くても結構です」とありましたが、たしかにそのとおりでした。なくても拝めますので無理に用意する必要はありません。

上記のものの他にあると便利だったものを挙げてみます。

①耳栓

身延川のせせらぎが気になって眠れないこともあります。耳栓があると便利です。

②リュック

奥の院への道は山道なので、リュックがあると荷物が楽に運べます(水、おにぎり、雨具など)。なくても肩がけの袋を貸してもらえます。

③防水かつ軽量の上着

奥の院への登詣では気象と気温の変化があり得ます。雨が避けられ保温もできる上着があるとよいです。登山で使われるゴアテックス製の上着などがあると重宝します。

 

【Q6】久遠道場へはどうやって行けばよいですか?

甲府からJR身延線富士行き普通電車で1時間半。840円。

特急ワイドビューふじかわだと約50分。1490円。身延駅下車。

身延駅からは車で10分程度。事前に連絡しておけば法拳さんが迎えに来てくださいます。

普通電車の場合、列車すれ違いのため駅で停車している時間がとても長いです。気が短い方には特急をおすすめします。

車で行かれる方は直接お問い合わせください。

⇒問い合わせページ

 

【Q7】申し込みや質問はどうやってすればいいですか?

ホームページの「お問い合わせ」から可能です。

 

修行に参加しての感想

大人数の修行者を受け入れているお寺ではシステマチックである反面、作法に厳しく周りに合わせることが必要です。人によってはそれだけで疲れてしまうでしょう(だからこそ修行なのかもしれませんが)。

その点、久遠道場は少人数制(ほとんどマンツーマン)であるため、ついていけなかったらどうしよう! という心配はありません。

 

修行に来られる人のほとんどは日蓮宗信者ではないでしょうから、お題目を唱えることに抵抗を感じるかもしれません(ぼくは世代的にどうしても志村けんを思い出してしまった)。

ですが幸い修行をする場所が総門の内側、つまり日蓮宗信者の方ばかり住んでいるところなので、太鼓を叩いてお題目を唱えても変な目で見られることはありません(逆に手を合わせられます)。

とにかくやっているとだんだん慣れてきます。案ずるより産むが易し、です。

 

ちなみに、入信を強く勧められることはありませんのでご心配なく勧められることさえありません。よければどうぞという程度です。

 

こういうところに修行に来る人はなんらかの悩みを抱えていることでしょう。こちらの修行では悩みを聞いてもらえる時間がたくさんあります。

僕の場合は1日目の夕食後、法話に当たる時間がそうでしたが、修行の合間に雑談として話してみるのもよいでしょう。

たくさんの修行者がいるところでは和尚さんと話す機会すらないことも珍しくありません。法拳さんに直接話を聞いてもらえる時間がたくさんあることは久遠道場での修行の最大の売りです。

もちろん自分の悩みをお坊さんであるとはいえ法拳さんに話してもよいものかどうかは迷うところだと思います。そこに壁があったとしても、修行に取り組むことで壁は低くなっていくことでしょう。修行にはそういう効果もあるのだと思います。

 

ぼく自身はいまの仕事を辞めること、職業自体変えてしまうことについて悩みを抱えていましたが、修行を通し、自分の考えを聞いてもらうなかで、自分が思っていたよりずっと自分の中で考えがまとまっていたことに気がつけました。

修行に来て考えがまとまったのではなく、じつは修行に来る前から考えがまとまっていたことに気がつけたわけです。これは自分の思っていることを話す機会が豊富にあったからこそであると思います。

 

まとめ

  • 山梨県身延町にある久遠道場は日蓮宗僧侶が運営する修行体験道場
  • ほぼマンツーマンの少人数制であるため、個人に合わせた修行ができる
  • 「悩みのある人は生活が崩れている」という考えから、生活のリズムを立て直すことも目的としている。
  • 集団で参加する修行と違って、お坊さんに直接自分の話を聞いてもらえる時間が豊富にある。
  • 修行したいけれどあまり時間の取れない方にお勧め




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