エクストリームウォークをはじめとする100キロウォークに参加しようと思っている方の中には、
「練習って必要?」「できれば練習したくない…」
という人も多いと思います。
結論から言うと、練習は必要です。
ただし、体力を鍛えるための練習ではありません。
ぼくはほとんど練習をせずに本番に挑み、過去にリタイアした経験があります。
しかし2度目の挑戦となった2025年10月の東京エクストリームウォークでは、最低限の練習だけで完歩できました。

この記事では、ぼくが実際に行った練習内容と、100km完歩に必要な考え方を詳しく解説していきます。
100キロウォークのコツは「怪我をしないこと」
100キロウォークの最大の敵は体力不足ではなく、怪我や足のトラブルです。
- 靴ずれ
- まめ(水ぶくれ)
- 皮むけ
- 爪が割れる・剥がれる
これらは100キロウォークでは“怪我”と呼んでいいほど痛みが強く、歩行を続けることが困難になります。
100キロを歩けるかどうかは「痛みなく長距離を歩けるか」がすべて。
そのため、練習の目的は体力強化ではなく、
「自分の体が何キロでどんな状態になるのかを調査すること」
だと考えてください。
エクストリームウォークの夜練・雨練・コース下見は必要?
夜間練習や雨の中での練習は、やれば確かに自信になります。
しかし必須ではありません。
なぜなら、夜間や雨への対応は“練習”というより“装備”で解決できる要素が大きいからです。
雨は雨具があれば問題ないし、夜の眠気対策には眠気止めの薬を用意しておけばいい。
それだけで2日間雨でも問題なく歩けました。
コースの下見も確かに有利になりますが、100キロの下見はさすがに現実的ではありません。
代わりに地図やGoogle Earthでコースをチェックしておきましょう。
その際、各チェックポイントの予定到着時間を計算して決めておきます。
これだけでかなりコースのイメージが可能です。
実際に行った練習スケジュール(本番20日前から開始)
ぼくは本番(10月25日)の20日前から以下のように練習を行いました。
- 10月6日:5km
- 10月7日:6km
- 10月10日:30km
- 10月17日:20km(10km x 2)
- 10月21日:5km
最長距離は30km。合計しても100kmは歩いていません。
それでも完歩できたのは、
100キロ全体を歩けるかどうかより、「CP(チェックポイント)間の距離」を歩けるかが重要
だったからです。
なぜ100キロ歩くのに長距離練習が不要なのか
→ 東京エクストリームウォークのCP間距離は最大24kmだから
東京エクストリームウォークでは、チェックポイント間の最大距離は24kmです。
つまり、
- 20km前後の距離を歩ければOK
- あとはその繰り返しで100kmは到達できる
ということになります。
練習で設定した距離の意味:5km・10km・20km・30km
練習では5kmから30kmまでいろんな距離を歩きました。
それぞれの距離には意味があります。
① 5km:自分の「最速ペース」を知るため
5kmはもっとも基本となる距離です。
- 調子がいいときの速さを把握できる
- 練習として気負わずに取り組める(1時間前後)
ここで測ったペースが、本番の距離予測に役立ちます。
② 10km:ペース維持と疲労の確認
10kmは1.5〜2時間で歩ける距離です。
このくらい歩くと筋疲労がどれくらい出るかを確認できます。
疲労が出ればペースにも多少影響が出始めるので、そのあたりを見ておきましょう。
ただし、10kmでは痛みはまだそれほど出てきません。
本当に確認したいのは「痛みの出方」です。
そのためぼくは、10kmを往復する20km練習を取り入れました。
③ 20km・30km:痛みのチェックが主目的
20kmを超えると、体のどこかに痛みが出始めます。
だからダメなのではなく、自分の痛みについて知ることがポイントです。
- どこが痛いか
- どのくらい歩いたら痛みが出るか
- その痛みは耐えられるか
痛みについては装備で対策が可能です。
詳しくはこちらの記事にまとめてあります。

痛み対策に関連して、とくに重要なのは靴が合っているかどうかです。
5kmや10kmでは靴の良し悪しは分かりません。
30km歩いても足にダメージが少なければ、装備は問題なしと判断できます。
100キロ完歩の靴選びは最重要|ぼくは靴でなく「ワラーチ」を選んだ

じつは今回、ぼくは自作のワラーチで100kmを歩きました。
理由は、前回のリタイア時に「靴が原因でひどい目に遭ったから」です。
- 爪が剥がれる
- まめが潰れる
- 皮むけ
これらはすべて靴が合っていなかったことが原因でした。
とくに爪の剥がれは深刻で、ちょっと靴を履くのは怖いなと思ったほどです。
だから今回は足の周りを囲わず、フィット性が極めて高いワラーチを選択しました。
しかし不安もあります。
本当にこんな薄いソールで大丈夫なのかと。
そのため、「ワラーチでも本当にいけるのか?」を確認するために20km・30kmの練習を実施しました。
結果として、大きなトラブルはゼロ。
本番は初日からまさかの雨でしたが、問題なく歩き切れました。
エクストリームウォークの練習で分かる2つのこと
以上の練習でわかるのは2点です。
- 自分の歩く速さ
- 自分がダメージを受けやすい場所
自分のペースが分かると、
時間を見ただけで進んだ距離がイメージできるようになります。
これは本番で非常に重要です。
いちいち地図を開かなくても、「1時間歩いたということは、5〜6km進んでいるな」と把握でき、歩くことに集中できるようになります。
痛みがいつどこに出るのかもわかるので、心の準備もできますよね。
まとめ:100キロウォークは「調査としての練習」が完歩の鍵
以上、エクストリームウォーク100kmを完歩するためにぼくが行った練習内容でした。
繰り返しになりますが──
- 練習は「鍛えるため」ではない
- 自分の体の特徴を知るため
- 靴や装備の相性を確認するため
- 20〜30kmの練習で十分
体力に関しては、多くの人はすでに100km歩く力を持っています。
大事なのは、
- 自分の痛みの出るポイント
- 自分の歩行ペース
- 靴が本当に足に合っているか
これらを練習の中でしっかり確認しておくことです。
痛みについては痛み止めなど対処法がありますが、そもそも痛みが出にくい歩き方と装備の選択が完歩への最短ルートになります。
これからエクストリームウォークに挑戦する方の参考になれば幸いです。

