2025年10月25〜26日に開催された「東京エクストリームウォーク100」を、23時間27分で完歩しました。
一昨年は途中でリタイアしたので、今回は再挑戦での完歩です。
雨の中、23時間27分で100キロ完歩。
— カトヒサ@イラストとマーケティング (@hisayosky) October 27, 2025
一昨年の54キロ時間切れリタイアを経て、2回目で歩き切りました。
今日は身体がガチガチでそーっとしか歩けません。… pic.twitter.com/SqFQcafTs5
僕は普段まったく運動をしていません。
自宅で仕事をしているため通勤もなく、日常的に歩くことすら少ない生活です。
そんな僕でも完歩できたのは、いくつかの工夫と心構えがあったからでした。
この記事では、完歩した当日の持ち物やペースなど詳細についてお伝えします。
これから100キロウォークに挑戦しようか迷っている人はぜひ読んでください。
ではいってみましょう。
なぜエクストリームウォークにエントリーしたのか
今回エクストリームウォークにエントリーした主な理由は以下の2点です。
- 一昨年リタイヤしたのがずっと心に引っかかっていた
 - 100キロ歩けない自分がなんかイヤ
 
100キロなんて歩くにはとんでもない距離ですが、東京エクストリームウォークでは毎回だいたい8割の人が完歩します。
つまり意外とハードルは高くないのです(大変ですが)。
それだけにリタイヤは悔しかったし、100キロを舐めてかかった自分の見立ての甘さにモヤモヤが残りました。
とはいえ、正直、エントリーするかどうかは最後まで迷いました。
今回も完歩できる見込みはなかったからです。
自宅仕事になって歩く機会が激減した分、前回よりも条件はよくない。
でも、あるYouTube動画で「完歩の秘訣はとりあえずエントリーすること」と聞いて、確かにそうだなと思い、流れで申し込みを決めました。
前回リタイアの理由
初挑戦のときは54キロ地点で時間切れリタイアでした。
「100キロくらいなんとかなるだろう」と甘く見ていたのです。
もちろん、その時は甘くみたつもりはありません。
ただ今振り返ると、明らかに準備も調査も不足していました。
その影響は当日の歩きに如実に現れます。
20キロあたりですでに体のあちこちが痛み、ときどき道端に座り込みながら歩くような状態になってしまいました。
34キロ地点の第2チェックポイントに着いた頃には、とても100キロ歩く元気は残っていません。
結局、痛みに耐えつつさらに20キロ以上を歩き、第3チェックポイントでタイムオーバー。リタイヤとなりました。
この時の反省をひとことでまとめると「準備不足」となりますが、詳しく分解すると以下のようになります。
- 長距離を歩いたらどうなるかを調べていなかった
 - ペース配分を決めていなかった
 - 当日の装備、服装などについて調べていなかった
 
結果として、この痛い経験が今回の完歩につながりました。
過去一過酷なエクストリームウォーク

念入りに準備して臨んだエクストリームウォーク当日は、朝からあいにくの雨でした。
この日のスタート地点、小田原の最高気温は15度、最低気温は11度。
体感的にもちょっと寒く感じました。
今からこんなに寒くて夜は大丈夫なのかと心配になるレベルです。
しかもこの雨は2日間ほぼ途絶えることなく降り続きました。
雨対策をしていなければ、靴の中まで水浸し。
僕は自作のワラーチ(サンダル)だったので、スタート前にはすでに足はドロドロです。
そんな状況で行われた100キロウォーク。
運営発表によると、参加者1653人中、ゴールしたのは1189人。
完歩率は71.9%と、例年の80%前後を大きく下回りました。
いかに厳しいコンディションだったかがわかります。
#東京エクストリームウォーク100 100km部門の完歩率71.9%は、大会初期を除いた2022年以降で最も低い結果でした。そんな過酷な状況下で挑戦した方は本当にすごい!
— エクストリームウォーク公式 (@XtremeWalk) October 27, 2025
アンケートに回答いただくと、ご自身の写真を選んでデジタル出場記念証がダウンロードできます。
▽100km部門https://t.co/PuERm6hqca pic.twitter.com/UXlNBO4eSc
そんな悪条件の中、完歩できたのは周到な準備があったからこそ。
どんな準備をしたのか紹介していきます。
エクストリームウォークの持ち物リスト

当日の持ち物は以下のとおり。
これらをAmazonで2000円くらいで売っている折り畳みリュックに入れていきました。
なお、▲は使わなかったものです。
- ヘッドライト
 - 手ぬぐい▲
 - 鴻江ベルト(腰痛対策)
 - スマホ用予備バッテリー
 - お金(1000円札)
 - 免許証・保険証
 - ワラーチの予備
 - ソックス2つ
 - レインポンチョ
 - レインパンツ
 - 薬(痛み止め)
 - 薬(眠気止め)▲
 - 薬(咳止め)▲
 - 経費鎮痛消炎テープ剤 3枚
 - ワセリン▲
 - 絆創膏▲
 - テーピングテープ(手で切れるタイプ)
 - アリナミン錠(3粒)
 - 貼るカイロ(小)2つ▲
 - 水500ml×1本
 - ティッシュ▲
 - ウェットティッシュ▲
 
携行した食料
食べ物・飲み物は途中で買えばいいですし、チェックポイントでも出してもらえるので、極論ナシでもなんとかなります。
ぼくは最低限用意して、歩きながらちょいちょい食べていました。気晴らしにもなります。
- おしゃぶり昆布▲
 - 飲むゼリー×2
 - 100円ショップのちくわ×2
 - バターピーナッツ
 - シゲキックス
 - ソイジョイ×3
 - ドライフルーツ▲
 
スナックは小袋に入ったものが便利でした。歩きながら食べられるからです。
水はあまり飲まない方なので、チェックポイントでもらえる量で十分でした。
雨だったからというのもあります。
当日の服装

荷物の軽量化を優先して、薄着でした。
下のリスト以外の衣類は持っていっていません。
正直、これだけだったら厳しかったですが、雨具を着たらかなり暖かくなりました。
雨具は防寒具としても使えます。
- ノースフェイスのフード付きジャケット
 - 長袖ヒートテックシャツ
 - 半袖エアリズムTシャツ
 - ランニングタイツ
 - モンベルのハーフパンツ
 - キャップ
 - ワラーチ(自作)
 
靴は最後まで迷いましたが、自作ワラーチでいきました。
ソールの厚さはわずか7ミリ。
クッション性は言わずもがなゼロです。
結果、100キロ歩いてもマメができたり爪が割れたりすることはありませんでした。
靴だと簡単に足の皮がめくれてしまうぼくにとっては、奇跡のような履き物です。
ちなみに、今回のエクストリームウォークで靴以外のものを履いていた人は、ぼくを含め3名いました。
- ワラーチ
 - 市販のスポーツサンダル
 - 白足袋
 
いずれの人も終盤で見かけたので、おそらく完歩されたと思います。
薄底もなかなかなのです。
チェックポイント到着タイム

100キロをどんなペースで歩いたのかを示したのが下の表です。
54キロ地点までは時速5キロ以上のペースを保てていますが、この時点で足が痛くて歩きに支障が出る状況でした。
その影響で後半は一気に時速3キロまでスピードが落ちています。
必死で歩いてこの速さです。
いかにダメージがのしかかったかがわかります。
それでも、事前に組んでおいたスケジュールより1時間ほど早いペースだったので、体の状態が悪くても落ち着いて歩き続きられました。
| 区間 | 距離 (km) | 到着時刻 | 所要時間 | 区間時間 | 平均時速 | 
|---|---|---|---|---|---|
| スタート(小田原城址公園) | 0 | 8:45 | – | – | – | 
| 第1CP 湘南海岸公園 | 21 | 12:26 | 3時間41分 | 3時間41分 | 5.7 km/h | 
| 第2CP 湘南海岸公園 水野広場 | 33 | 14:35 | 5時間50分 | 2時間09分 | 5.6 km/h | 
| 第3CP 横浜市児童遊園地 | 54 | 19:00 | 10時間15分 | 4時間25分 | 4.8 km/h | 
| 第4CP ポートサイド公園 | 67 | 22:30 | 13時間45分 | 3時間30分 | 3.7 km/h | 
| 第5CP 鈴ヶ森道路児童遊園 | 86 | 3:40 | 18時間55分 | 5時間10分 | 3.7 km/h | 
| ゴール(豊洲 アーバンスポーツパーク) | 100 | 8:12 | 23時間27分 | 4時間27分 | 3.1 km/h | 
100キロを完歩するために「しなかった」3つのこと
完歩を達成するにあたり意識していたことは3つあります。
いずれも1回目のときはまったく考えていなかったことです。
順番に見ていきましょう。
1. チェックポイント以外では休まない
@エイタ100kmさんのYouTubeで「休むな、休むと体が痛くなる」と言われていたのを実践しました。
体が動かなくなるのは「疲れ」ではなく「痛み」が原因です。
自分の経験からも、休むと体が痛くなるのは思い当たる節があります。
実際に、チェックポイント以外では止まらずに歩き続けたら、54キロまでは痛みを抑えられました。
ちなみに、第一・第二チェックポイントは休まず通過しています。
後半は痛みにより、チェックポイントで最大30分ほど休みましたが、歩き始めがきつかったです。
可能な限り、休まず歩くのが吉なのです。
2. 地図を見ない
1回目のときは、頻繁にスマホで現在地を確認していましたが、これも地味に消耗します。
地図を見るたびに「まだこれだけしか進んでいないのか」と心が折れてしまうからです。
コースには人が立ってくれているし、他の参加者もいるので、迷うことはまずありません。
よく考えると、気になるのは現在地ではなく「どのくらい進んだか」「あと何キロか」ということです。
それなら、時間で把握できます。
例えば、僕のペースは10分で1kmなので、20キロなら3時間ちょっとで到着できると予測できます。
あとは、スタートしてからの時間だけ測っておけば、今何キロ地点かがだいたいわかるということです。
この方法だと、時計を見るだけでいいので歩くことに集中できます。
進んでいる実感も感じやすいのでおすすめです。
3. 心を折らない
これも@エイタ100kmさんのYouTube動画で学んだことです。
「本当に歩けなくなるまでは絶対にリタイアしない」
この意識をずっと持ち続けました。
実際、54km地点ではかなり足の痛みがあり、そーっとしか足を地面につくことができない。
あと46キロなんてとても歩けない状態でした。
でも1回目のリタイア時は爪が剥がれてもっと痛かったことを思い出し、「あの時に比べればまだ歩ける」と自分を奮い立たせて歩きました。
リタイヤするのは簡単です。
せっかく100キロに挑戦しているのだから、本当に限界が来るまでがんばりましょう。
完歩してみて思ったこと
そんなこんなで23時間27分で完歩できたのですが、悪天候の中での100キロは想像以上に過酷でした。
ゴールした瞬間の感想は「うれしい」よりも「やっと終わった」。
それほど全身が痛み、疲労も限界でした。
それでも、何度も挑戦したくなる人の気持ちもわかりました。
やっぱり100キロを歩き切った達成感はすごいものです。
この記事はエクストリームウォークが終わって1週間後に書いていますが、今でもなんか気分がいい。
そのくらい100キロを歩き切る経験にはインパクトがあります。
運営や沿道の方々の声援も大きいです。
こんなに人から応援されたりおめでとうと言われたりしたことがあっただろうかというくらい、たくさんの人から声をかけてもらえます。
自分がやりたくてやるんですが、人から応援されてがんばれるのも魅力の一つではないでしょうか。
100キロは誰でも歩ける
今回100キロを歩いてみてわかりました。
断言します。100キロはたいがい誰でも歩けます。
通勤でよく歩いている人や、日帰り登山(1000m級)ができる人なら十分可能です。
それに加えて、平均時速4〜5キロ以上で歩けるなら26時間以内で完歩できます。
問題は体力よりも「痛み」です。
体の痛みをどう抑えるかが完歩の鍵となるでしょう。
それさえ対策できれば、100キロ完歩は決してむずかくありません。
必要なのはエントリーだけです。
最後に
「とにかく1回歩ければ満足」と思ってエクストリームウォークに参加しましたが、いざ歩き切ってみると「また挑戦してみたい」「もっと早く歩けるのでは?」と新たな欲が出てきています。
100キロウォークはもちろん大変ですが、それ以上に得られるものが多い。
人生で一度は挑戦してみる価値のあるイベントだと思います。
ちなみに、今回は80代の方も完歩していて、ぼくより全然元気そうでした。
なので、年齢もあまり関係ありませんよ。

