2025年10月25〜26日に開催された「東京エクストリームウォーク100」で、僕は念願の100キロ完歩を達成しました。

じつは僕、2023年大会では54キロでリタイアを経験しています。
さらに言うと、今年は体調や練習量も決して万全とは言えず、在宅仕事でほとんど歩いていない状態からの挑戦でした。
それでも完歩することができたのは「根性があったから」ではありません。
過去の失敗を踏まえて「どうすれば完歩する確率を上げられるか」を考え、実行したからです。
この記事では、100キロウォークを確実に完歩するためのコツを、僕自身の失敗と成功の体験をもとに解説します
これから100kmウォークに挑戦する方、過去に失敗してリベンジしたい方の参考になればうれしいです。
ではいってみましょう。
2023年大会でリタイアした理由
まずは、僕が2023年にリタイアしたときの状況を振り返ります。
結論から言うと、第三チェックポイント(54km地点)の閉門に間に合わず時間切れでした。
当時の状態は以下の通りです。
- 20km手前ですでに足裏・関節の痛みが発生
- 第1CPに着く前から休憩が必要な状態
- 第1CPで30分も休んでしまった
- 第2CP到着が17時台になり、54km地点まで残り4時間しかない
- 「閉門時間には間に合うだろう」という慢心があり、危機感がなかった
このような状況を招いてしまったのは、以下の「3つの準備不足」があったからです。
- 長距離を歩いたときに体がどう変化するかを知らなかった
- ペース配分を決めていなかった
- 当日の装備・服装について調べていなかった
逆に言うと、この3つをきちんと準備していれば、完歩の可能性はもっと高かったはずです。
ということで、今回はこれら3つについて準備しました。
それがそのまま「完歩のコツ」になっていますので、見ていきましょう。
完歩のコツ①:長距離を歩いたらどうなるかを事前に知る
100キロを歩くと、必ず体に変化が起こります。
重要なのは 痛みがどこに、いつ出るか を知っておくこと。
とくに注意すべきは次の2点です。
足裏・爪のダメージ
マメ、皮むけ、爪の割れ・剥がれなどの致命的トラブルは、「靴が合っていない」ことが原因の可能性が高いです。
逆に言えば、これらのトラブルが出ない靴を見つければ、完歩できる確率は一気に上がります。
どの距離で体がどう疲れるか
最低でも30kmを一度歩いておくと、「自分の体のクセ」「痛みが出るタイミング」が把握できます。
もっと短く済ませたいところですが、30キロくらい歩かないと、体の変化ははっきりとわからないのです。
- 5km:多くの人は問題なく歩ける
- 10〜20km:足裏や関節に違和感が出始める
- 30km:痛みや疲労が顕在化し、歩行に支障が出始める
もちろん50〜100km歩ければもっといろんなことがわかりますが、50km歩くには普通、10時間以上かかるので現実的ではありません。
100kmのリタイヤと完歩を両方経験して思ったのは、「第2CP(33km)までをいかにノーダメージで歩き切るか」が非常に重要ということ。
ここを無傷で乗り越えられれば、完歩の確率がグッと高まります。
完歩のコツ②:ペース配分(スケジュール)を作る
東京エクストリームウォークには5つのチェックポイントがあり、それぞれに閉門時間があります。
閉門する前に到着するのは当然として、それとは別に自分が完歩できる“理想ペース”を決めておきましょう。
僕が実際に作ったスケジュール
スタートを朝8時として、実際に僕が作ったスケジュールです。
後半のペースダウンも計算に入れ、かなり余裕を持たせました。
| 地点 | 到着目標時間 |
|---|---|
| 第1CP(平塚湘南海岸公園 21km) | 12:00(4時間) |
| 第2CP(湘南海岸公園 33km) | 15:00(3時間) |
| 第3CP(横浜自動遊園地 54km) | 20:00(5時間) |
| 第4CP(ポートサイド公園 67km) | 24:00(4時間) |
| 第5CP(鈴ヶ森道路児童遊園 86km) | 翌5:00(5時間) |
| ゴール(アーバンスポーツパーク 100km) | 翌9:00(4時間) |
これを作っておいたことで、
- 今どれくらい余裕があるのか
- このペースなら完歩できるのか
がひと目で分かり、安心して歩けました。
この計画に沿っていれば、閉門時間はほぼ関係ありません。
実際の僕のペースはこちらの記事に載せてあります。
後半はスピードが半減しましたが、それでも想定より早いゴールでした。

自分の歩行スピードを知る
自分はどのくらいの速さで歩けるのか。僕は2パターンで調べました。
- 調子が良いとき:時速6km
- 痛みが出る・不調時:時速3〜4km
練習で歩くときにタイムを測っておけば、計算で平均時速が割り出せます。
エクストリームウォークでも信号待ちなどで止まることが多々あるので、それも含めてどのくらいの速さかを調べるのです。
この数値がわかっていれば、チェックポイントごとの通過予定時刻を正確に予想でき、当日のペース管理が圧倒的に楽になります。
練習の仕方はこちらの記事をどうぞ。

完歩のコツ③:当日の装備・服装について調べる
初めて参加するときに迷うのが「持ち物と服装」です。
僕も最初は適当に準備して失敗しました。
しかし今回は、他の参加者の装備を徹底的に調べたおかげでかなり助かりました。
調べて分かった意外なこと
- 多くの参加者が「痛み止め」を持っている
- 眠気対策に「眠気覚まし」を用意している
- 夜間の冷え対策を入念にしている
僕は薬をほとんど飲まないタイプなので、「痛み止めで痛みを抑える」という発想すらありませんでした。
過去のリタイアで痛みの辛さを知っているだけに、薬で痛みが抑えられるのはすごい安心材料になりました。
また、眠気対策の存在も他人の装備を見て知り、さっそく薬を購入しました。
実際、眠気は問題にならなかったのですが、「どうしてもダメなら薬がある!」というのは非常に心強いものです。
僕の装備についての詳細は以下の記事にまとめました。

便利グッズは他人の装備から学べる
経験者の持ち物リストには、自分では絶対に思いつかないアイテムがたくさんあります。
まずは他人の装備を参考にし、そこから自分に合うようにアレンジしていくのが最も効率的です。
最後のコツ:絶対に“自分で”心を折らない
「自分で心を折らない」
これは根性論ですが、100kmには絶対に必要な要素です。
100キロを歩く力はほとんどの人が持っています。
でも、想像以上に過酷です。
- 足が痛い
- 腰が痛い
- 一歩が恐ろしく重い
- ちょっとした傾斜が信じられないほどキツい
そんな瞬間が必ず来ます。
もちろん、限界ならリタイアは立派な選択です。
でも「まだいけたのに諦めた」リタイアは、深い後悔が残ります。
僕も経験しました。
だからこそ、
“自分から心を折らない”
これを強く意識しながら歩くことが重要です。
ただし、気持ちを支えるのは“準備された体”です。
つまり、ここまで説明してきた準備こそが、心を折らずに100km完歩へ導く大きな武器になります。
まとめ:100kmウォーク完歩のコツ
最後に重要ポイントをまとめます。
- 長距離を歩いたときの身体の変化を知る
- ペース配分を決めて「完歩スケジュール」を作る
- 他人の装備を徹底研究する
- 自分の心を“自分で”折らない
エクストリームウォークは、単なる「長距離イベント」ではなく、自分の限界と向き合う貴重な体験です。
僕は2023年のリタイアを経て、準備を整え、気持ちを整え、ようやく100kmを完歩することができました。
当日にがんばるのはもちろんですが、後悔のないように準備も万全にして本番に臨んでください。


